T595デッド・エンド・ストリート

古いバイクの記録です。Yahoo!ブログより引越し。

T595インジェクション・コントローラ

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

イメージ 10

イメージ 11

イメージ 12

イメージ 13

イメージ 14

イメージ 15

○TuneBoy
T595は確かマグネッティ・マレリーに吸収されたフランスのセイジェムのインジェクション制御装置(ECU)を搭載している。名称はMC2000。1代目は点火ユニット。2代目はTPS(スロットル・ポジション・センサー)に問題が発生していた。エラーが発生するとECUのメモリに記録され専用のツールが無いと簡単に消す事は出来ない。装置を使用しない面倒な方法もあるが面倒だしバッテリに悪そうだ。

海外のT595サイトT595.netにはTuneboyというPCで動作するユーティリティが販売されている。同時に最新のマップデータが公開されている。この内部情報を参照する事でEFIの知識が増やせそうだ。とある月曜日に注文したが住所を間違えて記入してしまい、火曜日に訂正のメールを送ったら郵便が届いたのは金曜日。優秀な国際郵便だ。中身はT595のダイアグ用コネクタと接続するシリアルケーブルとCDが1枚。とりあえずソフトをインストールすると2つのソフトウェアが導入された。OSはWindows系OSのみだ。

1.Tuneboy :ECUのモニターツール。マップデータのダウンロード等純正ダイアグツールと同じ操作が出来そうだ。
2.TuneEdit:マップデータの編集ツール。車種によって異なるが複数ある制御用マップデータが書き換え可能。

○9pinDINシリアルポート
仕事柄PCには不自由してないが、最近のノートPCには9pinDINシリアルポートなんぞ付いている筈も無い。購入したTuneBoyの旧VerはWindows2000とUSBは不可。販売元への問合せのメールにも同じ様な事が書かれてあった。プログラムのdllがWindows2000に対応していないのと、TuneBoyはECUのシリアル番号を元に解除コードを発行して貰う形式で、USBでは肝心のシリアル番号が採取出来ないのだ。

現在使用しているのはシリアルポート付きIBM ThinkPad240をWindows2000/Winsdows98をマルチブートで使用している。

ECUの制御
ECUは、バッテリの供給電圧とインジェクションへの制御電圧を比較・微調整している様で、割り込み型のサブコンでは低速での燃料を調整出来ない事が今までの試した結果判明した。2代目エンジンから主に高速道で発生するガス欠に似た症状について調査を行うためにTuneBoyを利用する事にした。

○スロットルポジション設定
TP(スロットルポジション)の開度はECUに設定したスロットル開度の電圧をセンサーの規定電圧で割った数値で示される。このTPとは別にECUに開度0時の値をCTPT(クローズドスロットルポジショントリム)として記録する。TPとCTPTの差分をCRTP(コレクティッドスロットルポジション)として補正情報として使用している様だ。またセンサー電圧としてバッテリからの供給電圧も記録する。

本来ならTPを設定するとCTPTも調整されるため差異が発生しない筈だが、前述のガス欠症状が発生するとこのCRTPが0以上に数値を表示し、アイドリングが高くなる等の異常が発生する。発生するとCRTPをリセットする以外方法は無い。

○TuneBoy/TuneEdit/DataLogger概要
TuneBoyがVer2.2からVer2.4へアップグレードして、ラインアップもアプリリアからベネリまでとサポート範囲が広がった。

1.TuneBoy画面
純正のダイアグツールの機能をGUIインターフェースを使って判り易くしたものと云える。基本設定項目に違いがあるわけではない。タグ画面として以下の4種類が存在する。

1.VirtualDash:メータパネルのデータを表示する。CO濃度とTPSの0度設定が可能。
2.SencerData :T595に設置されている各種のセンサーデータを一覧で表示。CO濃度と補正TPSのリセットが可能。
3.ErrorCode :記録されているエラーコードの履歴を表示。クリア可能。
4.TestMode :5種のテストが可能。タコ・冷却ファン・電磁ポンプ・アイドルステッパーモータ・パージバルブの5つ。

良く使用するのは1,2が大半だろう。特にTPSのリセットは便利だ。RAT03で持って行かなかった事が悔やまれる。

2.TuneEdit/DataLogger画面

1.TuneEdit :ECUの補正マップを直接修正する事が可能。純正ダイアグツールでは既存データのダウンロードしか出来ないが、TuneEditでは、給排気系の変更に合わせて細かい修正が可能。

2.DataLogger :Ver2.4の追加ツール。走行中のデータロギングが可能。もちろんPCのバッテリ次第。

DataLoggerによってエンジンの不調の原因が掴めれば良いのだが。

○データロガー利用
PCでDataLoggerを起動してコネクタを接続したままT595を走行させる。主に高速道路でデータロガーを使ってみた。TPS不調は再現しなかったが、アクセル開度0度設定のCTPS(Closed-TPS)の設定数値が頻繁に変化するのは確認できた。

○表示数値
データのズーム機能を使って確認してみたが、加速時アクセル全開状態のTPS数値は69.8%。最大回転数は9556rpm。速度センサーはリヤ回転計測のためタイヤの外周長が異なれば速度計との差異を生じさせる。計測数値は230km/h。水温の表示数値は一桁異なっているが、はじめの内は正常に表示されていたのでセンサーがおかしいのか。ソフトウェアの問題か。普通に走っているとアクセル開度は5%以下。回転数も上がらない状態だ。

○不調発生
雨の中、筑波のタイムトンネルを見に行くためT595で走り出した。当然、ノートPCは接続していなかった。得てして、こういう時に限って不調が発生したりするのは困ったものだ(笑)。帰って確認してみたら、やはり補正TPSが0では無かった。

○燃調調整後1ヶ月
補正TPSが変化する件について、ガス欠の様な症状が発端となる訳で、先入観が有ってやってはいなかったのだが、ふと思いついて全体のCO調整というか「Idle Fuel Trim」の設定を0からマイナス方向に振ってみた。「-1.56]から「-2.34」に設定を変更した。IFT設定を「-2.34」にしてから1ヶ月経ったが、1度もガス欠の様な症状は発生せず、補正TPSの数値に変化は無い。

○パワー測定
パワー測定を行った結果。今まで発生していたTPSの不良と思われていた障害の原因らしきものが、おぼろげながら見えてきた。T595はダイレクト点火のため、エンジン回転測定は出来ないため速度表示となる。測定はギア4速固定。最高回転数を10000rpmに制限に制限して測定した結果、最大出力は後軸で110馬力と以前と同様に近い数値が出た。ガスセンサーの測定値では80km/h~100km/h付近、大体3000rpm~4000rpmで空燃比が14台から一気に11台まで濃くなっている。ただし出力カーブに落ち込みは見られない。最大出力付近はパワー空燃比と呼ばれる12台で安定している。パワーの出方は滑らかだ。

○燃料マップ表示
TPSの不調が6速の100km/h前後で発生している事を考えると、この空燃比の濃さに原因があると推測される。勿論、同じ条件下でセンサー自体に不調が発生する事も考えられるし、燃調と点火マップデータに対してECUの制御アルゴリズムがどのような制御を行っているかが判ればデバッグも行い易いのだが。最終的には燃調マップを修正する事になると思うが、まずはIFT設定をさらに薄くしてみようと思う。
参考までに燃調マップのグラフは以下の通り。旧型T595のマップは番号が9852から始まる。ノーマルサイレンサーとアフターマーケットサイレンサー用が2種類(管長で異なる)ある。また年式によってはセンサーが廃止されたり、新しいカムシャフトが使われたりと細かくマップが用意されている。

○パワー測定
パワー測定を行った結果。今まで発生していたTPSの不良と思われていた障害の原因らしきものが、おぼろげながら見えてきた。T595はダイレクト点火のため、エンジン回転測定は出来ないため速度表示となる。測定はギア4速固定最高回転数を10000rpmに制限に制限して測定した結果、最大出力は後軸で110馬力と以前と同様に近い数値が出た。

○現象再発
IFT設定を「-2.34」にしてから暖かくなるまで5ヶ月の間現象は再発しなかった。しかし気温が上がりだした頃にガス欠の様な症状が若干発生していた。気温が上がりだすとTPSの不調が完全に再発した。中間速度辺り4,000回転付近でガス欠症状が発生した。TPS低電圧は2回発生した都度リセットしたが、エラーまで行かなくとも補正数値が0なのにアイドリングが上がったりと原因が掴み難い感じがする。とりあえず、バッテリを新しい物に交換し、配線とECUを確認する予定。

○TPS不調対策1
不安定な梅雨前の晴れ間にT595を走らせて見たが、やはりTPSの不調が頻発した。ツーリングは諦めて30度を越えそう暑さの中対策を実行した。まずはECUに追加されたI-CONの配線を全て撤去。MFバッテリ用に延長していた電源ケーブルを純正バッテリ用に戻し充電済みの開放型バッテリに交換。少し涼しくなってきた夕方に試乗してみたが、TPS不調は発生していない。若干低速でのツキが悪ク感じたのでTuneBoyでIFT設定を「-3.12」から「-1.56」へ変更。TPS不調について様子を見る事にする。

○TPS不調沈静化
対策1が効いたのか、それほど長距離は走る事は出来なかったが仕事で都内へ往復した時にも不調は全くと言って良い程発生しなかった。アイドリングも安定しておりエンジンも快調だった。