T595デッド・エンド・ストリート

古いバイクの記録です。Yahoo!ブログより引越し。

聖杯探し:サスペンション編

替え時

イメージ 2
あちこち連れ回したせいかパイオリのリヤサスは8000km弱/1年でオイル漏れ。
純正パーツの納期が全く当てにならない場合は可能なら代用パーツで修理するか、
WPやOhlinsなど専業メーカーのラインアップに有ればラッキー。無ければ純正品を送って造って貰う方法が有ります。
1回目は修理(32000円)。翌年に再発した2回目には納期などを考えて専業メーカーにしました。頼んだのは「富樫エンジニアリング」です。

どうしましょう?

疑問:オートバイのサスペンションの仕様はどうやって決めるんだろう?
と思いましたよ。
所謂、「ツルシの」社外品サスペンションは高品位パーツに置き換えただけではない理由がバネレートやダンパー特性に込められているのかと。

基本レース部品にそんな事がある訳が無い(笑)。
セッティングはライダーのお仕事ですw。

とはいえサーキットの限定的な利用ならまだしも純正と同じにするなら基本構成は全長とバネレートとストローク長を合わせた方が無難です。希望を伝えて変更可能なら相談するのも良いと思います。
BB1はリンク式では無いためサ基本構成が違うと公道での再設定が面倒。

純正ダンパーはコストダウンの厳しいところですから、簡略化されているのが大半ですがメインのダンパーバルブやシムは合わせておかないといけません。当時はダンパーユニットの測定器を持っていたショップは少なかったと思いました。
純正ユニットの特性は車体とエンジンの仕様に合わせてテストライダーが実走して決めるんだろうな~位しか思ってませんが(笑)。

BB1と言えば、どうかと言うと
パイオリ製43mm径フォークは、オフ車並みのストロークを誇り(笑)
・バネレート0.77kg(プリロード15mm)
油面は190mm
ストロークは130mm

パイオリのリヤサスはガチガチです(笑)
・バネレート10.5kg(プリロード24mm位?):プリ掛け過ぎ?

当時はこの設定に遠いハンドルと短く高いバックステップのせいで、テストライダーはマウンテンゴリラか何かかと思いましたよ(笑)。
またオイル漏れしたらパーツ入手にXヶ月掛かるとかは止めて欲しいものですが(笑)。

ダイナミックサスペンション

イメージ 1
1998年01月15日 ~2月
当時、富樫エンジニアリングがダイナミックサスペンションを取り扱いしてしており、ツテを辿って依頼を受けて戴きました。

元のパイオリはプリロード・減衰共に、かなり掛けた状態で使用しているため硬さ(路面からの反力)が全般にあります。これをもっと動かしたい訳です。タイヤのロードインデックスや速度記号を下げる案(ZR規格)も有りましたが、タイヤサイズが少なかったかと。
またコーナー進入や中のギャップでの跳ねが一定しないのはライダーの技量不足も有りましたが、別の問題も有りました。
送られてきたダイナミックのバネは12.5kg。全長、プリロード、減衰設定はその都度代変えていきます。

 ・bb1取り付け時
 プリロード 17.31mm (サス長159.69mm=自由長177mm):プリ抜き過ぎ
 伸び側減衰 最強から8戻し 圧側減衰 最強から12戻し

当時の装着タイヤはMichelin TX15/25で、空気圧は固めの2.4を基本に2.2まで変更。

 ・セッティング変更:試乗
 プリロード 19.21mm (サス長157.79mm=自由長177mm) 
 伸び側減衰 最強から6戻し 圧側減衰 最強から11戻し 
 この設定だと、登りのワィンディングの60km/h~80km/hのコーナリングでは、車体が少し尻下がりのアンダー設定になっています。低速コーナーではまあまあな感じ。フロント油面を20mmアップ(170mm)にしました。
全走行距離:16040Km

1998年02月15,16日 
 ・ダイナミックセッティングその1 
プリロード 19.8mm (サス長157.20mm=自由長177mm) 
伸び側減衰 最強から1回転と1/4戻し 圧側減衰 最強から1回転と1/6戻し
イメージ 3
直線ではギャップ等のショックに対する吸収を持たせて、リーンから旋回はある程度リヤが沈んだ姿勢を作り出してトラクションを掛けられる状態に素早く持っていく様に動かしてやる設定を探します。柔らかめのダンパー設定で、プリロードまたは車高調整を試してみる事にします。次回は車高調整でリヤを上げてみて、どの様に変化するかを設定してみたいと思います。 
 全走行距離:16637Km

1998年02月21,22日 
 ・ダイナミックセッティングその2 
 プリロード 19.8mm (サス長157.20mm=自由長177mm) 
 伸び側減衰 最強から1回転と1/4戻し 圧側減衰 最強から1回転と1/6戻し 
 車高調整+2mm(2回転) 
 リーンのきっかけでリヤが沈まないというか、不安定でクイック過ぎ旋回に必要なポイントまでサスを沈める事が出来ず、フラフラと旋回していきます。
そこで待ち合わせ場所でプリロードを半回転戻し伸び側を1回転1/6戻しに強め圧側を1回転と1/2戻しで緩めてリヤを下げました。バランスポイントとしては以前と同じ様なポイントでバランスして良く動きつつ綺麗に旋回して行きます。リーンした状態でシートへの荷重を変化させる事でもっと小回りする事が可能です。なかなか良さそうに思えます。
しかし、この設定では問題が発生しました。下りのストレートでアクセルを戻すとリヤの動きからかヨーイングが発生してしまいました。
あまりにリヤを柔らかくして車高を上げるとスイングアームの垂れ角が大きいbb1では伸び側の動きがロックしてしまいヨーイングが発生する場合があると聞きました。帰宅後、車高調整を1mm戻し、プリロードと減衰を変更しました。

 プリロード 19.8mm (サス長157.20mm=自由長177mm) 
 伸び側減衰 最強から1回転と1/6戻し 圧側減衰 最強から1回転と1/6戻し 
 車高調整+1mm(1回転) 
全走行距離:16957Km

途中で以下のイベントを挟みつつ(笑)、丸々一年間経過しました。
・イグナイタートラブル
・定番ウォーターポンプシール漏れ
・エキゾースト交換
・GMD測定、車体修正
・ステムベアリンク交換
クラッチ盤交換
・ホイールベアリング交換
・チェーンスライダー交換
・タイヤ交換(Pirelli Dragon Corsa)


・滞っていたサスペンション再設定 

イメージ 4
1999年02月27日 
GMDの測定でフロントのジオメトリーが極端に立っている事が判っていました。逆にスイングアームの対地角を減らし車高を下げ、フロントのキャスター/トレールを増やす方向でセッティングを出す方向に持っていくやり方を富樫さんから聞いて試してみる事にしました。 
 プリロード 36.8mm (前回40mm) :間が空いたので基準点を変更(笑)
 伸び側減衰 最強から3/4戻し 圧側減衰 最強から1/2戻し 
 車高調整-3mm(前回-1mm) 
 
フロントフォークも合わせて変更しました。
プリロード 10.3mm 
伸び側減衰 最強から5クリック戻し 
圧側減衰 最強から3クリック戻し 
油面 160mm(+10mm) 
全走行距離:20662Km



・セッティング確認

1999年2
ダイナミックのセッティング初期に車高調整で車高を上げて、徐々に落としたのは、バイク自体の安定性はライダーが補う分、キャスターを立てて前輪の動きにもっとクイックさが欲しかった訳ですが、リヤサスが沈み込んでもキャスターが立ちプロジェクトタイヤの実舵角が付かない分、アクセルや体重移動その他で辻褄合わせしていたと感じですね
リヤの車高を下げてからはリーン開始には少し力が入るが一端向きを変えてしまえば、車体の安定を利用してアクセルを開けてのコーナーリングがやり易い感じです。
またリヤを下げてスイングアームの対地角を押さえた事で加速感が良くなりました。それでも油面が低くくプリロードを上げた以前のパイオリの様にギャップ通過時リジッド気味に跳ねる事は無く突き上げられる事はありません。 
フロントは油面を上げるかオイル粘度を5-10から10~15へ上げる方向で見直しする予定。 
全走行距離:20902Km 

この後、1000km走行後にラジエーターを強化しました。
イメージ 5

2000km後フロントスプロケが走行中に飛んで行ったので(^o^;)

結論は出ないまま売却しました。ダイナミックは仕様変更後、T595に移植され3万キロ以上走行後に4年間放置され(^o^;)、OHして955iに移植を検討するかどうかで部屋に保管中です(笑)。

今ならどうすれば良いかは判っていますが、その他の問題も多かったバイクでしたね。

つまらない回想にお付き合いありがとうございました。とりあえず、終わりますw。