T595デッド・エンド・ストリート

古いバイクの記録です。Yahoo!ブログより引越し。

意図と構造

なるしまに寄ると毎回小畑さんから有益な話が聞ける。現職の知識はどの分野でも重要な情報源だ。
Heliumにフルクラムを装着した時に入換えたKleinのコンパクトクランクとBBを外していじってみた。
改めてシマノとフルクラムの設計者の意図が構造に表れている。

シマノ FC-R700クランク

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アルミシャフトの根元にはOリングが埋め込まれている。アルテグラSLのクランクも同じ構造。おそらくデュラエースのクランクも同じと考えられる。このOリングの役割は?

シマノ FC-R700 BB

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BBの樹脂カバーを抜くとベアリングのアウター側まで覆うシールがある。しかもダストを中に入れない様にラビリンス?構造となり、徹底した耐久性重視の造りになっている。
シャフトのOリングは樹脂カバーとラビリンスを常に接触させておくための機能と樹脂カバーの削れ防止だと考えられる。つまり装着するフレームの構造がどうであれBB単体で防水・防塵機能を意図した設計ではないだろうか。

反面、常にシャフトとベアリングのインナーと一緒に回転する樹脂カバーと内部のシールが接触しているため回転抵抗にシールの摺動抵抗が存在している。

フルクラム レーシングトルクRSクランク

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20年前なら「流石、イタリア製」と揶揄の意味を込めて褒めていただろう(笑)。防水・防塵はベアリングの樹脂シールとグリスだけだ。ベアリングのインナーはシャフトに、アウターはBBカップ接触するのみ。

フルクラム レーシングトルクRS BBカップ

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同じHeliumのフレームでもBBハンガーの内部形状は2007はアルミの円筒で左右が繋がり、2008は左右のネジ部分のみで筒抜けになっていたりする。フルクラムのBBカップはネジ側にシールが装着されてシャフトからベアリングへの水や埃の侵入を止めるや役目を持たせている。部品点数も少なくシャフトの嵌合部などかなり合理的な構造になっている。
ただしフルクラムのマニュアルにしつこく書かれている様にBBカップとベアリングを含めたウルトラトルククランクシャフトの精度が出ていないと抵抗が発生する。

ちょっとした改造

フルクラムのBBカップについていたシールはさっさと取っ払った。回りの良さはインプレで書いた通りだ。
シマノのBBについているシールを外して樹脂カバーのみにしてみた。リテーナ付きのベアリングが剥き出しになるのでフルクラムより水や塵の浸入には弱くなる。
左のBBの回転は良くなったが、右のは妙に渋い。雨の日に走行したのは美ヶ原ヒルクライムの時しかないが・・・。アルテグラSLのBBで試してみるか。